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1:
那須野橘音 ◇TIr/ZhnrYI[sage] 2018/04/13(金) 23:39:47
201X年、人類は科学文明の爛熟期を迎えた。
宇宙開発を推進し、深海を調査し。
すべての妖怪やオカルトは科学で解き明かされたかのように見えた。

――だが、妖怪は死滅していなかった!

『2020年の東京オリンピック開催までに、東京に蔓延る《妖壊》を残らず漂白せよ』――
白面金毛九尾の狐より指令を受けた那須野橘音をリーダーとして結成された、妖壊漂白チーム“東京ブリーチャーズ”。
帝都制圧をもくろむ悪の組織“東京ドミネーターズ”との戦いに勝ち抜き、東京を守り抜くのだ!



ジャンル:現代伝奇ファンタジー
コンセプト:妖怪・神話・フォークロアごちゃ混ぜ質雑可TRPG
期間(目安):特になし
GM:あり
決定リール:他参加者様の行動を制限しない程度に可
○日ルール:4日程度(延長可、伸びる場合はご一報ください)
版権・越境:なし
敵役参加:なし(一般妖壊は参加者全員で操作、幹部はGMが担当します)続き12行
127:
ポチ ◇xueb7POxEZTT[sage] 2018/04/14(土) 17:46:18
 


そして、四日後の夜。

>《もう会うことはないと。そう言ったはずですが――》

ポチはシロの匂いを辿り、再び彼女の元へと辿り着いた。

>《なぜ、また現れたのです?わたしの同族のようで、同族でない貴方。人の世に棲む獣》

月明かりを受けて金色に輝く双眸がポチを見据える。
如何なる嘘をも見逃さないと言わんばかりの鋭い眼光。

「……僕も、言ったはずだよ。君と僕は、また出会う事になるって」

だがポチは怯まない。怯む理由がないのだ。

「いい月だね。僕みたいな雑種でも……少し気持ちが昂ぶるよ。
 アイツは、もっとだろうね。あの時は、僕はちょっと鼻がやられてたんだけど……君は感じたはずだろ。続き26行
128:
ポチ ◇xueb7POxEZTT[sage] 2018/04/14(土) 17:48:09
「……僕が今までこの街で生きてきたのは、きっと今夜、君をここから逃がす為だったんだ。
 運命が、この日この夜の為に、そうしたんだって……そう、思って欲しい。
 こんな雑種の僕にも、何を投げ打ってでも守る同胞がいたんだって、思わせて欲しい」

ポチがシロの目前にまで近づいて、足を止める。

「君を、命をかけて守る狼がここにいたんだって、僕の事を覚えていて欲しい。
 それだけでいいんだ。それだけで……僕はアイツと、死ぬまで戦える」

一呼吸の間を置いて、いや、とポチは呟く。

「ごめん。もう一つだけ……もし、叶うなら。
 たった一度だけ、ほんの少しの時間で良いから。
 ……僕に、寄り添って欲しい。せめて君の名残を、僕に残しておくれよ」

もし、シロがその願いに応えてくれたなら。
そしてロボがその光景を目にしたなら。
そうでなくとも彼女のにおいさえ纏う事が出来れば、彼に誤解を植え付ける事は可能なはずだ。
……だがポチのこの提案は、その全てが、ブリーチャーズの都合に準じているとは言えないものだった。
彼はシロに、この街から去り二度と帰ってきてはいけないと言っているのだ。続き18行
129:
御幸 乃恵瑠 ◇4fQkd8JTfc[sage] 2018/04/14(土) 17:48:35
>「あはは……うん、ありがと。でも大丈夫だよ。実はね、全然気にしてないんだ、僕。
 だって、僕は狼じゃなかったけど……これから狼になるんだ。
 誰がなんて言ったって、僕がなれたと思ったら、それでいいのさ」

「なりたいと思えばなれるよ。君はどっちでも好きな方になれるんだから」

>「ほら、ノエっちは僕が狼でもそうじゃなくても、どーせこうしてもふもふしてくるでしょ?
 だからホント、全然大した事じゃなかったんだ。
 ……長い間、その事に気づけなかったけど」

「そうだ、全然大したことじゃない! 何にせよもふもふしてるという点では同じだ!
何故もふもふするのかって? ――そこにもふもふがあるからだ」

皆がポチを迎え入れて一段落ついたところで、本格的に作戦会議が始まった。

>「あー……まあ、あれだ。囮って言うと大昔のペルシア兵よろしく盾にでも縛り付けんのか?」
>「ま、盾に縛り付けるかはともかく、橘音なら良い作戦思いついてくれるよな?
ポチも納得できて、シロも傷つかなくて、ロボにも効果てきめんって感じのめちゃくちゃすごいやつ。
橘音の言う囮作戦……詳しく聞かせてよ」
続き34行
130:
御幸 乃恵瑠 ◇4fQkd8JTfc[sage] 2018/04/14(土) 17:48:53
>「……え、えぇええええええ!?」
>「いや、ちょっと、それは無理だよ橘音ちゃん……。
 君だって聞いてたんでしょ?僕はつい今さっき、あの子にフラれてきたばかりなんだよ?」

ポチに続き、ノエルもガタッと音を立てて立ち上がりながら抗議する。

「ポチ君だっていきなりそんな事言われても困るよ! いくらたった一人の同族だからってそれはまた別問題じゃないか!
それに会ってすぐ結婚申し込んでくるような輩は王国を乗っ取ろうとする悪い奴だから気を付けなさいってお母さんいつも言ってた!」

しかし橘音はポチや皆の反応など気にも留めない様子で、いつもに増して芝居がかった態度で自らの作戦の素晴らしさを語る。

>「どうですか祈ちゃん!ノエルさん!クロオさん!褒めてくれていいですよ?」

これは橘音自身も無茶だと分かっていてかといって他にいい方法も思いつかず、自信の無さの裏返しで開き直っているのかもしれない。
そう思いそれ以上否定的に突っ込むのはやめ、その方向性で前向きに検討することとする。

「本当に結婚するのは無茶として妻か彼女の振りをしてもらうのは実現できれば有効な作戦だろうな。
それにしても協力を取り付けないといけないから説得は至難の業だけど……」

>「……それから。例え隙を作れたとしても、あのフィジカルモンスターを倒しきれるのか?皆さんそれが疑問ではありませんか?」続き34行
131:
御幸 乃恵瑠 ◇4fQkd8JTfc[sage] 2018/04/14(土) 17:49:16
>「……正直、あんまり自信はないけどさ。それでも、やってみる。頑張るよ。
 さっきは無理だなんて言ったけど……ホントはずっと、願ってたんだ。
 あの子と出会う前から。あの子の同胞になる事を」

「うん、橘音くんもいない今あの子と話せるのはポチ君しかいないんだ。ああ、僕に動物の言葉さえ分かれば一緒に協力要請できるのに!」

"この世界が精霊には動物の言葉が分からない仕様で良かった!"と皆が思ったことだろう。
世界設定によっては割とその辺りが自然系で一括りにされてツーツーだったりもするよね。

>「でも、どうせならもうちょっとカッコいいとこ見せてからの方が良かったなぁ。
 またフラれちゃったらどうするのさ、もう……」
>「……本当、どうなったって知らないよ」

少々意味深な言葉を残し、ポチは夜の街に消えて行ったのだった。
祈などはすぐに作戦会議を始めたがるかもしれないが、とっくに中学生が寝る時間を過ぎているし、尾弐は一晩は安静にする必要がある。

「中学生はもう寝なきゃ。家まで送っていくよ。明日うちの店に集合ね」

そう言って祈を伴って病室を出る。
先程ポチに、橘音はあらゆる事態を想定して策を練っていると言ったのは嘘ではない。続き30行
132:
御幸 乃恵瑠 ◇4fQkd8JTfc[sage] 2018/04/14(土) 17:49:42
いったん場は暗転し、次のシーンではちゃぶ台等のセットは片付けられてノエルと深雪が背中合わせで立っている。

「しかし哀れな奴よのう。宿命には抗えぬというのに! なあ、我が器よ。そなたにも同じ末路が待っているかもしれぬのだぞ」

姉の死を超えた今、大概のことでは大丈夫だろう。
でも目の前で仲間を全て殺されたら――例えば、考え得る限りの残虐な方法で橘音を殺されたら抑えきれるだろうか。

「大丈夫だ心配ない――と言いたいところだけど正直分からない。でも頑張ってみるよ。
宿命に抗ってくれたのは僕じゃなくお母さんとお姉ちゃんだから。
もしかして心配してくれてるの? さっきもさりげなくヒントくれたし……」

「なっ――! ば、莫迦いうな! さっさと明け渡せと言っておるのだ!
長い年月離れすぎていた影響で乗っ取ろうにも乗っ取れぬわ! 器の分際で自我を確立させるとは忌々しい奴め!」

微妙にツンデレ化が進行している深雪であった。古来からツンデレ・クーデレ・エロスとタナトスは雪女の基本である。

゚+。*゚+。。+゚*。+゚ ゚+。*゚+。。+゚*。+゚ ゚+。*゚+。。+゚*。゚+。*゚+。。+゚*゚+。。+゚*。+゚

「まずは――置きっぱにしてきた天神細道を回収してこよう!」
続き16行
133:
御幸 乃恵瑠 ◇4fQkd8JTfc[sage] 2018/04/14(土) 17:50:09
゚+。*゚+。。+゚*。+゚ ゚+。*゚+。。+゚*。+゚ ゚+。*゚+。。+゚*。゚+。*゚+。。+゚*゚+。。+゚*。+゚

そして――決戦の日は来た。のはいいのだが。

「帰って来ないじゃないかぁああああ! あのキツネ仮面!」

橘音不在中の作戦本部になっているSnowWhiteにて、ノエルは痺れをきらして叫びながら立ち上がった。
すでに夜になり、満月が空に浮かんでいるというのに、橘音の姿は見えない。ラインは未読のままだし電話をするも、繋がらない。
この作戦は銀の弾丸が無いと話にならないのだ。
その上、ポチも一向に姿を見せず、説得に成功したのか失敗したのかも分からない。
どちらにしてもシロの居場所さえ教えてくれればいいと言ってあるにも拘わらず。

「どうしよう、ポチ君も姿を見せないしこのままじゃシロちゃんさらわれちゃうよ……。
シロちゃんがいそうな場所で一つ心当たりがある場所があるんだ。そこに行ってみよう」

一縷の可能性を賭けて以前シロと対面したビルの屋上に行ってみると、幸いにもシロはそこにいた。

「――ビンゴ! ポチ君も一緒ってことは説得うまくいったのかな?」

しかしそれならそうと言ってくれれば良かったのに、何かが妙だ。続き9行
134:
尾弐 黒雄 ◇pNqNUIlvYE[sage] 2018/04/14(土) 17:50:38
>「ま、盾に縛り付けるかはともかく、橘音なら良い作戦思いついてくれるよな?
>ポチも納得できて、シロも傷つかなくて、ロボにも効果てきめんって感じのめちゃくちゃすごいやつ。
>橘音の言う囮作戦……詳しく聞かせてよ」

>「まぁ、この天才狐面探偵にドーンとお任せあれ!今回もスマートに片付けてご覧に入れましょう!」

尾弐の意図を汲んで繰れたのであろう。祈は敢えて那須野へ対してのハードルを上げて見せ、
対してそれを受けた那須野は、なんでもないとでも言ういう様に、任せろと。そう言ってのけた。
そんな二人の様子に尾弐は頼もしさを覚え――――同時に罪悪感も覚える。

それは、祈の虚飾と言う言葉を感じていないかの様な済んだ瞳に対してであり、
そして、自身が那須野へと無理を頼み、それを背負わせているという事実に対してでもあった。

(本当なら、俺が考えて責任を負うべきなんだろうが……こればっかりは、な)

尾弐は、この世の中に万全の作戦と言うものは存在しない事は知っている。
どれだけ完全に見える作戦にも脆さは有り、穴は存在する。
そして、完全に近い作戦であればある程に得てして崩れた時に失う物は多いものだ。

それを承知の上で作戦を提案するという事は。続き13行
135:
尾弐 黒雄 ◇pNqNUIlvYE[sage] 2018/04/14(土) 17:51:27
>「死んだはずの最愛の妻ブランカを目撃した……それ以上の衝撃を、ロボの精神に叩き込まなければならない」
>「そこで、ポチさんの出番です。ポチさん、あなたは――」
>「シロさんとつがいになるのです」
>「……え、えぇええええええ!?」

「いや、流石にあさっての方向ににアクセル踏み過ぎじゃねぇか!?」

提案されたスマート(?)な作戦に早々にその仮面を吹き飛ばされてしまっていた。
その混乱具合は、ポチの驚愕の声と共に素っ頓狂なツッコミを入れてしまった事や

>「ポチ君だっていきなりそんな事言われても困るよ! いくらたった一人の同族だからってそれはまた別問題じゃないか!
>それに会ってすぐ結婚申し込んでくるような輩は王国を乗っ取ろうとする悪い奴だから気を付けなさいってお母さんいつも言ってた!」

あのノエルがこの場面で一番まともな発言をしている事から察する事が出来るだろう。

>「いや、ちょっと、それは無理だよ橘音ちゃん……。
>君だって聞いてたんでしょ?僕はつい今さっき、あの子にフラれてきたばかりなんだよ?」

「しかも、失恋してたのかよポチ助……それで再告白ってなぁ」
続き31行
136:
尾弐 黒雄 ◇pNqNUIlvYE[sage] 2018/04/14(土) 17:51:52
>「あ、クロオさんは今夜一晩ここに泊まって、安静にしてなくちゃダメですよ。チャオ☆」

那須野は、四日後の狼王の襲来の予告をし、策略を各自で思案する様に言ってから足早に立ち去ってしまった。
後に残されるのは、文字通り狐に摘ままれたような有様のブリーチャーズのメンバー達

>「……橘音ちゃんはさ、僕が失敗したらとか、考えないのかな」
>「失敗する訳ないって、思ってくれてるのかな。それとも……」

その中で、初めに立ち直ったのはポチであった。彼は、託された事に対しての不安を口にする。
けれど、その決意はとうに固まっていたのであろう。
己が望むことを貫かんと、言葉を続ける。

>「でも、どうせならもうちょっとカッコいいとこ見せてからの方が良かったなぁ。
>またフラれちゃったらどうするのさ、もう……」

そんなポチに対し、ノエルの言葉はひどく優しく暖かい。

>「何考えてるのか分かんないよあのキツネ仮面! だけど橘音くんはいっつもあらゆる事態を想定してるからね。
>もしうまくいったらラッキー程度の駄目でもともとの無茶振りかも。
>僕達も説得失敗しても大丈夫なように考えるからさ、心配しないで! だから思いっきりいってこい!続き40行
137:
尾弐 黒雄 ◇pNqNUIlvYE[sage] 2018/04/14(土) 17:52:24
・・・・
そして4日後。

>「帰って来ないじゃないかぁああああ! あのキツネ仮面!」
「急にデけぇ声出すな色男。今何時だと思ってんだ」

満月の下で、尾弐はノエルの声に対して耳を塞いでいた。
尾弐はノエルと一緒に今日の昼ごろから今まで、SnowWhiteで銀の弾丸を用意してくる予定の那須野を待っていたのだが……
規定時刻を大幅に超えた事で、どうやらノエルの我慢が限界に達したらしい。憤懣やるかたないといった様子で、先ほど叫び出したのだ。
尾弐はそのノエル程に落ち付く様に声を掛けつつも、遅すぎるという事には同意しているのだろう。
先程から入口のドアに何度か視線を向けている。

だがそれでも――――那須野橘音は現れない。貴重な時間だけが経過していく。

>「どうしよう、このままじゃシロちゃんさらわれちゃうよ……。
>もし橘音くんが間に合わなくてもシロちゃんだけでも逃がさなきゃ。ポチ君、シロちゃんの場所まで案内して」
「攫われちまったら本末転倒だからな……仕方ねぇ。ポチ、悪ぃが宜しく頼むぜ」

口火を切ったのは、ノエルであった。
今宵は、時間との勝負でもあり、このまま待っていてはニホンオオカミのシロが攫われかねないと、そう思うのは当然と言えるだろう。続き35行
138:
多甫 祈 ◇MJjxToab/g[sage] 2018/04/14(土) 17:52:52
 尾弐がポチの心の裡にあるハードルを下げる為に投げかけた、
ペルシアだかで使われたと言う歴史ある戦法を使うかという質問を却下した後、橘音は祈の問いに答えた。
>「ハードル上げすぎですよ祈ちゃん!?……いえ、そのくらいの策を考えなければ、ボクも指揮官失格というものですが」
>「まぁ、この天才狐面探偵にドーンとお任せあれ!今回もスマートに片付けてご覧に入れましょう!」
 そう言って頼もしく笑って見せる。
 祈もまた尾弐と同様に、ポチ(とついでに自分)の心の裡にあるハードルを下げる為の問いを橘音にぶつけた。
代わりに橘音のハードルは極限まで爆上がりしているのだが、橘音はそれに応えると言ってくれた。
つまりは、橘音は自身が苦労を負ってでも仲間の気持ちを尊重すると言ってくれたのである。
ただ冷徹にロボを殺す算段を立てるのではなく。
「さっすが橘音!」
 嬉しくなったので、合いの手を入れてみたりする祈であった。
>「さて。彼を知り己を知れば百戦殆からずということで、作戦をお話しする前に皆さん、狼王ロボについてお勉強しましょう」
 そう言って橘音が取り出したのは、いつも妖怪を召喚しているあのタブレットだ。
>「お勉強の時間にしては、ちょっと深夜すぎますが……祈ちゃん、眠くても我慢してくださいよ?」
 そして、勉強と聞いて僅かに嫌そうな顔をする祈に、悪戯っぽく言うのだった。
 言われて祈が壁に取り付けられた時計を見てみれば0時を過ぎている。
それを知ったからか、急に眠気が押し寄せてきて欠伸が零れた。
軽く仮眠を取ってはいるが、今日は色々なことがあり過ぎた。
 尾弐がベッドの端に腰かける体勢になった為、ベッドが空いている……。そのことに気付いて
横になりたい衝動に駆られた祈であったが、我慢してと言われた故、致し方なしと、眠い目を擦って橘音の話に耳を傾けることにした。続き24行
139:
多甫 祈 ◇MJjxToab/g[sage] 2018/04/14(土) 17:53:08
 ロボの正体について一通りのレクチャーをし終えた後、橘音は作戦の内容へと話を戻した。
ロボにとって仲間と、取り分け妻であるブランカは己に秘めた魔性を抑え込んでしまえる程に大事な存在だった。
それは人間で例えるなら、食べたくとも食べず、眠たくても眠らず、という感覚に近いものだっただろう。
それをやってしまえる程に愛した者が今、シロという形で現れた。
……とロボは思っている。その認識こそが大事なのだと橘音は語る。
ではその認識を逆手に取って、どのようにロボの弱点を突くかと言えば。
>「そこで、ポチさんの出番です。ポチさん、あなたは――」
>「シロさんとつがいになるのです」
 と言ってのけた。数秒の沈黙。
>「……え、えぇええええええ!?」
>「いや、流石にあさっての方向ににアクセル踏み過ぎじゃねぇか!?」
 ポチの驚愕の声が上がり、尾弐も思わずツッコミを入れる。
>「ポチ君だっていきなりそんな事言われても困るよ! いくらたった一人の同族だからってそれはまた別問題じゃないか!
>それに会ってすぐ結婚申し込んでくるような輩は王国を乗っ取ろうとする悪い奴だから気を付けなさいってお母さんいつも言ってた!」
 ノエルもまた即座に異議を唱えた。
 それも無理からぬ話だろう。ポチとシロは昨日会ったばかりで、ついでに先ほど振られてきたばかりだ。
説得もできるかどうかという状態であるのに、いきなりつがい(夫婦)になれという指示するなど、
順序がめちゃくちゃも良いところである。段階というかそういうものを幾らかすっ飛ばしてしまっている。
 しかし祈は、そのアクセル全開で明後日にすっ飛んでいくような、橘音のこの発想が存外嫌いではなかった。
 シートン動物記に倣い、シロを殺害するような方法でも狼王ロボを止めることは叶うだろう。続き26行
140:
多甫 祈 ◇MJjxToab/g[sage] 2018/04/14(土) 17:54:04
「偉いぞ橘音! で、ポチとシロが夫婦になる方法は?」
 ベッドに手を掛け、身を乗り出して祈は問う。
 そう、つがいになる方法である。つがいになれと言われても、ポチやシロにも気持ちがあり、
先述したようにファーストコンタクトはよろしくなかった。無策ではあまりに厳しい。
 しかしどうしたことか、それに対する返答はない。
ポチも疑問を挟むが、橘音はそこで話は終わったとでも言うように答えない。
「……ねーのかよ!?」
 ポチとシロがつがいになるという方針だけを示してあとはお任せ、ということらしい。
それはポチに対する信頼故か。それとも失敗しても大丈夫なように次の策を考えているが故に任せられるのか。
その表情は狐面の奥に隠されていて探ることは叶わない。
 橘音は話を更に前へと進める。
>「……それから。例え隙を作れたとしても、あのフィジカルモンスターを倒しきれるのか?皆さんそれが疑問ではありませんか?」
 結局、つがいになる方法についてなんら具体策を示すことなく、
ポチがつがいになれること前提で話を進めてゆく。
そして四日後の満月の夜、人狼たるロボは抑えが効かなくなりシロを狙って動くであろうことと、
それに合わせ、人狼の弱点である銀の弾丸を自分が調達して来ること、
更に、つがいになった二人を見てロボが無防備になった時に、銀の弾丸をより確実に当てられるよう何らかの方法を考えておくようにと
ポチ以外の三人に宿題のように言い残して。
>「それじゃ、四日後の満月の夜にお会いしましょう!今夜はこの辺で!」
>「あ、クロオさんは今夜一晩ここに泊まって、安静にしてなくちゃダメですよ。チャオ☆」続き31行
141:
多甫 祈 ◇MJjxToab/g[sage] 2018/04/14(土) 17:54:54
>「でも、どうせならもうちょっとカッコいいとこ見せてからの方が良かったなぁ。
> またフラれちゃったらどうするのさ、もう……」
「シロを助けたい、守りたいっていう素直な気持ちを伝えたらなんとかなったりしない……かな?」
 ポチは匂いで気持ちを察知できる。とすればシロも同様のことができるだろう。
それはつまり、どんなに上辺で愛を囁こうとも本心を見抜かれるということだ。
ロボから守る為に、出会ったばかりで君のことを良く知らないけどつがいになって欲しい、などと思ってしまえば
それすら見透かされてしまうのだろう。
だからこそ誤魔化しなどせず、君を助けたいから協力して欲しい、助けたい、守りたい。
そんな素直な気持ちを正面からぶつけた方がシロも分かってくれるんじゃないか、なんてことを祈は思う。
夫婦になるのではなく、夫婦になったと見せかけることに全振りと言うか。
当然、シロがポチと夫婦になってくれるのならそれに越したことはないのであるが、
偽りは信頼をむしろ損ねてしまい、それこそ夫婦になるどころではなくなってしまうだろう。
>「……本当、どうなったって知らないよ」
 そう呟いて、ポチも病室の外へ消えていく。

「じゃ、残ったあたしらは作戦会議だな。議題はどうやって銀の弾丸をロボに当てるか。
ったく橘音の奴、大事なとこはあたしら任せなんだか――ふぁ……」
 言いかけて、欠伸が自然に出てくる。
0時を過ぎて暫し。時計の短針は1に近付きつつある。
>「中学生はもう寝なきゃ。家まで送っていくよ。明日うちの店に集合ね」続き37行
142:
多甫 祈 ◇MJjxToab/g[sage] 2018/04/14(土) 17:55:12
 翌日、寝るのが夜遅くであった為に昼まで寝ていた祈だったが、やがて祖母に叩き起こされた。
旅行先にいる筈なのに何故自宅に戻ってきているのか等問い詰められながら遅めの朝食を摂り、
その後、ノエルの召集を受けてSnowWhiteへと向かう。
 扉を開けてみると、店内はがらんとしていた。
客の姿がないのは、本来なら店主のノエルが旅行に行っている筈であり、
『数日間留守にするため閉店』という主旨の貼り紙がされている故だろう。
そして銀の弾丸を調達すると言って消えた橘音は勿論、
シロとつがいになる策を練ろうと頭を悩ませているであろうポチも、更には尾弐の姿もそこにはない。
恐らく病院で安静にしているか、別口で作戦を練っているのだろう。
いるのはただ一人、ノエルのみ。二人きりの作戦会議になってしまったようであった。
こちらの作戦はラインなりメールなりで尾弐のおっさんに伝えればいっか、
などと思いながら、祈が挨拶もそこそこにテーブルに着くと、ノエルも椅子に腰かけて、作戦会議が開始される。
そこで開口一番に、ノエルはこう言った。
>「まずは――置きっぱにしてきた天神細道を回収してこよう!」
 天神細道とは、橘音の持つ七つ道具の一つであり、
その鳥居を潜ればどこへでも行くことができるという不思議な力を備えた道具である。
「天神細道って、橘音が持ってたあの鳥居みたいなやつ? なんで?」
 ブリーチャーズが迷い家から東京へ戻る際、先んじて走ったポチに追いつこうとして使用したのだが、
天神細道は一方通行で、ある作品の秘密道具のように空間と空間を繋げるドアが残ったりはしない。
その為、潜ってどこかへ行くと、天神細道はその場に残されてしまう。続き11行
143:
多甫 祈 ◇MJjxToab/g[sage] 2018/04/14(土) 17:56:14
「……天才かよ」
 祈も感嘆の声を漏らさざるを得ない。
何せこの発想は、この状況を引っくり返しうる可能性を大いに秘めている。
 行きたい場所にどこへでも行けるという天神細道。
その詳しい使用条件は分からないが、もしそれが
『大雑把に思い浮かべた場所でも移動できる』、
『人間や妖怪でなく物質だけでも移動させられる』というようなものであれば、
まさにロボの背後を思い浮かべて鳥居に銀弾を撃ち込むだけで全てが終わるのである。
生憎ここに銀の弾丸はないが、アクセサリーショップで売られている“銀を加工して指輪を作れる”、
という作成キットを用いて作ってしまえばいいし、
もしくは尾弐の握力で銀の食器などを握りつぶして丸めてしまってもいいだろう。
とかくそれを天神細道の元に辿り着くや否やロボの背後を思い浮かべて投擲するなりすれば、
三日後を待つまでもなくこの戦いは終わるのだ。
 もしそのような緩い使用条件でなかったにしても、その利用価値は計り知れない。
『移動したい座標を予め設定しなければならない』、『移動したい場所を正確に思い浮かべなければならない』、
というような使用条件だった場合は、狙撃班は天神細道と地図を持って、
ポチとシロが会う場所を見渡せるような高台にでも移動すれば良い。
目視でポチ達やロボを確認できるのなら、正確に座標や場所を知り、設定したり思い浮かべることができるだろうから。
 また『移動には妖気などの対価が必要であり、
銀の弾丸など物質だけを移動させることはできない』というような条件があるとしても、続き14行
144:
多甫 祈 ◇MJjxToab/g[sage] 2018/04/14(土) 17:57:06
 そして満月の夜が。決戦の日がやってきた。
この日までに祈はノエルと共に天神細道の利用方法を理解し、戦略を練り終えている。
あとは橘音の到着を待つばかりなのだが、一向にその姿は見えない。

>「帰って来ないじゃないかぁああああ! あのキツネ仮面!」
>「急にデけぇ声出すな色男。今何時だと思ってんだ」
 ノエルも尾弐も焦れていた。
空には雲に隠れることなく満月が浮かんでいる。今宵、間違いなくロボは動くのだ。
それが何時なのかすらわからない以上、早く動かなければと、祈の気持ちも焦っていた。
>「どうしよう、このままじゃシロちゃんさらわれちゃうよ……。
>もし橘音くんが間に合わなくてもシロちゃんだけでも逃がさなきゃ。ポチ君、シロちゃんの場所まで案内して」
>「攫われちまったら本末転倒だからな……仕方ねぇ。ポチ、悪ぃが宜しく頼むぜ」
 こうなれば橘音が不在でも動くしかない。
銀の弾丸の代わりとなるものは一応祈も用意してきているし、
どうやら尾弐もこの四日間でロボの対抗策を練り、何らかの武器を用意してきたようであるし、
作戦自体は変更することなく決行できそうではあった。
 ポチに案内を頼み、ブリーチャーズはSnowWhiteから出て、とあるビルへと向かった。
天神細道を頭上に掲げるような形で持って続く祈。
 辿り着いたのは博物館からそれ程離れていない、この付近で最も背の高いビル。
その屋上にシロがいるとのことであった。続き8行
145:
那須野橘音 ◇TIr/ZhnrYI[sage] 2018/04/14(土) 19:21:31
橘音の持つ狐面探偵七つ道具は、橘音が東京ブリーチャーズを結成するにあたり日本全国の大妖怪から借り受けたものである。
所有者の妖力と引き換えにありとあらゆる妖怪を瞬時に召喚する『召怪銘板』は魔王・山本五郎座衛門から。
回復機能を持つ簡易結界として働き、どんなものでも収納しておくことができる『迷い家外套』はぬらりひょんの富嶽から。
動物、植物問わず森羅万象あらゆる生物と会話が可能になる『聞き耳頭巾』は橘音直接の上司・白面金毛九尾の玉藻から。
そして、向かうだけなら地上はおろか天上、冥府にまで行ける『天神細道』は天満大自在天神(菅原道真)から。
残り三種類の道具も、それぞれ名の知られた大妖怪の所有していた超一流の妖具である。

そんな天神細道の利用に、難しい条件は必要ない。『○○へ行きたい』と願ってくぐれば、どこだろうと移動は叶う。
その辺りは超一流妖具らしいと言うか、極めてご都合っぽいふわっと加減であった。
同様、『物品を○○へ』と念じながら鳥居に投げ込めば、正確な場所に移動させることもできる。
つまり、ノエル発案の狙撃は可能である、ということだ。
もっとも、『銀の弾丸をロボの体内に』などという使い方まではできない。
あくまで、ロボへの狙撃は狙撃担当者が目視で行う必要がある。

>じゃ、足の速いあたしが取って来るから、その狙撃方法が有効かどうかはあたしが取ってきてから試すとして……

「あら、まあ。祈ちゃん?」

祈が迷い家へ戻ってきたのを見て、宿の玄関先で掃き掃除をしていた女将の笑はほんの僅かに驚いたような声を上げた。
二泊三日の予定だった東京ブリーチャーズが一泊しただけで帰ってしまったので、心配していたらしい。続き40行
146:
那須野橘音 ◇TIr/ZhnrYI[sage] 2018/04/14(土) 19:21:51
風火輪。宝貝と呼ばれる、大陸産の強力な妖具である。
中国三大奇書のひとつ『西遊記』によれば、ナタはその宝貝を用いて自在に天を翔けたという。
ひとたび履けば靴底のウィールは紅蓮の炎を纏い、ターボババアの限界を超えた速度を出すことができる。
熟練すれば伝説の通りに空を翔けることも可能になるだろう。また、工夫次第では強力な武器にもなる。
炎を纏ったブレード部分での蹴りは斬撃にもなるし、風火輪のスピードでただ飛び蹴りするだけでも相当な威力であろう。
敵から離れた場所より蹴りを放つことで、炎を飛び道具として投射することもできる。
が、他の超強力な妖具がそうであるように、この風火輪も使用者の妖力を容赦なく吸い上げる。
また、使用者に高い身体能力も要求する妖具である。生中な運動神経では、まともに走ることもおぼつくまい。

「お主の母は、それをうまく使いこなしておったが――お主はどうぢゃろうの?」

いかにも意地の悪そうな笑みを浮かべ、富嶽はそう言って祈を送り出した。
147:
那須野橘音 ◇TIr/ZhnrYI[sage] 2018/04/14(土) 19:22:06
満月の夜。上野で一番高いビルの屋上で、皓白の月光を全身に浴びながら、二頭の狼が向かい合う。

>また、アイツが来るよ。だから君に言いに来たんだ
>……ここを離れて、逃げるんだ。後の事は、全部僕に任せて

《…………》

シロはなにも言わない。ただ、ポチの声なき言葉に耳を傾けている。
ポチが近付く。その身体から、なつかしいにおいが漂ってくる。
植樹された人工のものではない、ありのままの草木のにおい。
舗装されたアスファルトのものではない、地面の。土のにおい。
……自然の、におい。

>僕のにおいを辿っていくんだ。そうすれば、山に帰れる。君が元いた山じゃないかもしれないけど。

ポチが選んだのは、偽りでも夫婦の契りを交わしてくれというのではなく。
狼王を打倒するために協力してくれというのでもなく。
ただ、シロを遁がす。ロボの、いやロボだけではない――何者の手も届くことのない、深い自然へと彼女を還すという選択だった。
それはニホンオオカミの捕獲を依頼した富嶽の意向とも、またその依頼を引き受けた橘音の意向とも違うもの。
……そして。ポチ自身の、いつか仲間と巡り合って――という夢とも、違うもの。続き40行
148:
那須野橘音 ◇TIr/ZhnrYI[sage] 2018/04/14(土) 19:22:22
それは、どういう心境の変化だろうか。
ポチの提案は受け入れない。ここから遁走することもしない。もしロボが現れるのなら、迎え撃つ。シロはそう言っている。
つまり、ポチが頑張って考えた案はすべて退けられたということだ。
が、だからといって、ポチのことを何もかも否定するつもりはないらしい。
特に、ただひとつ――ポチが最後に言った願い。

>僕に、寄り添って欲しい。せめて君の名残を、僕に残しておくれよ

そんな、あまりに慎ましすぎる願いだけは。聞き届けようと思ったのだろうか。
ポチとシロの距離は、今や数十センチもない。それでもシロは歩みを止めない。
そして、満月の光に照らし出された二頭の影が、ひとつに重なろうとした――まさにその瞬間。
ビルの屋上にいた、すべての者が感じたであろう。
このビルに急速に迫ってくる、禍々しくも膨大な獣の妖気を。

「何をしてやがる……?このワンコロがァ!『オレ様の女房』に!!」

ガガァァァァンッ!!!

まるで隕石のように、弾丸のように。空から巨大な銀色の塊が降ってくる。
それはビルの屋上、ポチとシロの二頭ともノエルと尾弐のふたりとも離れた場所に落ちてくると、ゆっくり立ち上がった。続き37行
149:
那須野橘音 ◇TIr/ZhnrYI[sage] 2018/04/14(土) 19:22:58
といって、ノエルと尾弐の加勢が入ったところで戦況が有利になるかといえば、それも疑問である。

「ゲァッハッハッハハハハ――――ッ!!雑魚が何匹集まったところで、オレ様に勝てるワキャねェだろォがよォォォォ!!!」

ポチの牙を、ノエルの冷気を、尾弐の拳撃を。時に受け流し、時に捌き、時に強靭な体躯で弾き返して。
本性を現したロボが暴威を振り撒く。
その姿はまさに、獣の齎す害意の体現。獣害の顕形。
人々が畏れ、人の手に余るものと定義し。森に棲まう神性の眷属とした狼――大神の化身が、そこにいた。

「サル知恵がァ……ちょいと考えてきたとは言ってもその程度かよ!そんなンじゃァ……オレ様は止められねェなアアア!!!」

ノエルの持参してきたシルバーアクセサリーは、もちろん効かない。
一方で尾弐の用意した純銀製のナイフとフォークは、命中すれば確かにロボにダメージを与えることができる。
尾弐の目論み通り、銀製品には退魔の効果があり、昔から神聖視されている。
一般的にも、狼男や吸血鬼には銀の武器が効く――というのは有名な話だ。
とはいえ、しょせんナイフとフォークである。銀の効果はともかく、物理的にロボの分厚い被毛と筋肉を貫くことはできまい。
猟銃は、銀の弾丸を込めて撃つなら効果があるだろう。――しかし、日本で西洋妖怪に効力のある弾丸を入手することは不可能である。
もっと殺傷能力の高い徹甲弾などであれば、一時的にではあるがロボの動きを止めることができる可能性はある。
祈のアクセサリー作製キットで弾丸らしきものを作ることはできる。ただし、あくまで急造品のため致命傷に至るかは疑わしい。
あとは、尾弐の持ってきた銀紙に包まれた長方形の物体であるが――。続き37行
150:
那須野橘音 ◇TIr/ZhnrYI[sage] 2018/04/14(土) 19:23:18
ロボが隆々とした上半身を前のめりにして、のしのしとシロの許へ歩いてゆく。

……が。

ブリーチャーズの四人は気付いただろうか――
『ここまでのロボの行動は、妖壊のそれではない』ということに。
ロボは破壊と殺戮の権化でありながら愛を知り、妻と仲間を持った。
群れを率いてのちは人間を殺戮することをやめ、群れが生きていけるだけの家畜を襲って細々と生き永らえてきた。
そんな折、かけがえのない仲間を、最愛の妻を人間に殺された。
それからというもの、ロボは人間を憎悪し、災厄の魔物としてかつてのように人間を殺戮するようになってしまった。
ここまでは筋が通っている。
ならば、何をもってロボを心の壊れた妖壊と言えばいいのだろう?

ロボはかつて喪った最愛の妻、ブランカと姿のよく似た白狼シロを誤認している。
ロボはもう二度とブランカを喪うまいとしている。
ここも、理屈としては矛盾がない。
『シロをブランカと思い込んでいる』点が妖壊であると言えるかもしれないが、この点をもってロボを妖壊と定義するには弱い。
妖壊とはもっと、根本的なところで壊れているものなのだ。
で、あれば。
いったい、狼王ロボのどこが壊れているというのだろう?続き29行
151:
那須野橘音 ◇TIr/ZhnrYI[sage] 2018/04/14(土) 19:23:39
高く右腕を掲げてシロを宙吊りにしたまま、ロボがぞろりと短剣のような牙の生え揃った口を開ける。
そして、シロの喉笛に噛みつく。
シロは目を見開いた。喉に噛み付かれ、ごぷり、と口の端から血を吐き出す。
さらにロボはぶちぶち、と力任せにシロの喉を引きちぎった。血液が濁流のように溢れ出し、ロボの腕と顔を染めてゆく。

「ゲァハハハハハハハ……、ハァ――――ッハッハッハッハッハッハッハッハァ――――!!!!」

シロの、彼にとっては最愛の妻ブランカであったはずのオオカミの鮮血を浴び、ロボが哄笑する。
そう。
ロボの望みは、もう二度と妻を、仲間たちを人間に殺させないこと。
不死身の自分と違って普通のオオカミに過ぎない妻や仲間たちを守るには、どうすればよいか?
簡単なこと。『自分と同じにしてしまえばいい』、すなわち――

『自分の血肉にしてしまえばいい』。

妻の血を啜り、肉を啖えば、それはすなわち魂の合一。
『妻と仲間たちは、自分の中で永遠に生き続ける』という理屈である。
そうなれば、確かにもう二度とロボとブランカが引き裂かれることはない。ふたりは永遠に一緒だ。
実際にブランカの魂が彼の中で生き続けるかどうかはさておいて。
続き39行
152:
ポチ ◇xueb7POxEZTT[sage] 2018/04/14(土) 19:24:27
……ポチの願いは、シロには届かなかった。
彼女は逃げる事を是としなかった。

>《……だからこそ。だからこそ、わたしは求めていたのです。いつか、同胞と巡り合うことを……ずっと夢に見ていたのです》
 《あなたの姿を見たとき、それが叶ったと思った。嬉しかった――なのに――》
 《……皮肉なものですね。あなたと、魔狼と、わたし。ひとつの地に狼が三頭もいるのに――そのどれもが。決して交わらない》

「……決してかは、分からないじゃないか。
 僕だって、命をかけて戦うけど、最初から負けるつもりで戦う訳じゃない。
 僕が……僕らが勝てば、また君と出会う事だって……」

>《あなたの申し出はありがたいですが、受けることはできません。魔狼がわたしを狙っているというのなら、抗いましょう》
 《例え、それで死ぬことになったとしても。誇りを捨てて遁げ出すよりは、ずっとましです》
 《――ならば。ならば、これはわたしと魔狼の問題。あなたには関係ありません、あなたこそお遁げなさい。そこのお仲間と一緒に》

ポチの視線が、ふいと横に逸れたシロの視線を追う。
盗み聞きの次は覗き見か、皆していい趣味してる……などと頭の片隅で思いつつも、それを表には出さない。
そんな事をしている暇はない。

「……嫌だよ。そんなの、君と僕の立場が入れ替わっただけじゃないか。続き31行
153:
ポチ ◇xueb7POxEZTT[sage] 2018/04/14(土) 19:25:00
>「何をしてやがる……?このワンコロがァ!『オレ様の女房』に!!」

「……君の?」

>「グルルル……。迎えに来たぜ、ブランカ……もう我慢できねえ、我慢なんざできっこねえ。おまえの姿を見ちまった以上はな……!」
 「妖怪大統領なんざ知ったことか。オレ様は欲しいものを手に入れる、今度こそ……」
 「――『おまえを守ってやる』、ブランカ――!!!」

「彼女が君のものだった事なんて、一度もないだろ。
 すっこんでろよ。この子は……僕が守るんだ」
154:
ポチ ◇xueb7POxEZTT[sage] 2018/04/14(土) 19:25:46
だがポチは引き下がらない。ロボを阻むようにシロの前に出る。
橘音が間に合わなかったとしても、彼がする事は、したいと望む事は何も変わらない。
シロを守る為にロボと戦う。例えその結果、自分が死ぬ事になったとしても。

>「イロガキがァァ……人様の女房に色目ェ使いやがって、どうなるか分かってンだろォなア!?」
 「ハラワタァ引きずり出して、このビルの屋上から吊り下げてやるぜ!カラスのエサにもなりゃァしねェだろうがなァ!!」

ロボが気炎を吐き、その豪腕を、ナイフのような爪を振りかぶる。
だがポチは狼犬だ。四足歩行で、背が低い。
ロボが巨躯であるが故に、爪と彼の体との距離は、遠い。
必然、爪が描く軌道は大きな弧を描く。
だから……辛うじて躱せる。屋上の床を蹴り、同時に夜闇に紛れ姿を消す。
ロボはポチを探せない。ノエルと尾弐がいるからだ。
彼らが動けば、ロボにもほんの一瞬くらい、自分を意識出来ない時間が出来る。
ポチはそう判断し、ロボの側方へと跳躍。
そして飛びかかり……爪を用いて、眼を切りつける。
ロボの筋肉にポチは牙を通せない。故に狙えるのは何の鎧も纏っていない眼球のみ。
狙い澄まして放った一撃は……しかしロボに見向きもされないまま、その拳によって撃ち落とされた。
短い悲鳴を上げて、ポチが床を転がる。
続き40行
155:
ポチ ◇xueb7POxEZTT[sage] 2018/04/14(土) 19:26:00
>「……ブランカ……悪かったな……。ああ――何もかも。オレ様が悪かったんだ……」
 「オレ様が油断していたから……。隙を見せたから……。人間なんぞ恐るるに足らねえと、奴らを侮っていたから……」
 「もっと、おまえらの行動に目を光らせておけばよかった。片時も目を離さないでいればよかった……」
 「おまえらを、もっと安全な場所に匿っておけばよかった……」
 「だが、もう大丈夫だ。わかったんだ……あれから。オレ様はあのとき、どうすべきだったのか――」

無敵の王の寵愛の下で生き続けるのは……彼女にとっては苦痛だろうが、
今までよりもずっと易しい生を送れるかもしれない。
それでも……逃げて欲しかった。自分の憧れが、誰かの手に落ちるのを、見たくなかった。
156:
ポチ ◇xueb7POxEZTT[sage] 2018/04/14(土) 19:26:17
>「――『一番安全な場所が、どこなのか』――」

だが……それももう叶いそうにない。
ポチに出来る事はもう、たった二つだけ。
今から起こる出来事から、目を背けるか……あるいは受け入れるか。
……シロはずっと、彼女と出会う前から、ポチの憧れだった。
ロボはブリーチャーズにとっては紛う事なき敵だったが……その狼王の生と在り様には、羨望を抱いた。
憧れと、羨みが、一つの結末に辿り着く。
それはもしかしたら、そんなに悪い事ではないのかもしれない。
ただ自分の望んだ結末と異なるだけで……ポチはそう思い始めていた。
シロの悲鳴が、響くまでは。

「……おい。何やってるんだよ、お前……」

>「ああ、心配するなよ……ブランカ。これからはもう、ずっと一緒だ。もう二度と、誰もオレ様たちを引き裂くことはできねえ」
 「オレ様たちは――『ひとつになるんだからな』――!!!」

「何を……待て、待てよ!やめろ!なんでそんな……」

声を張り上げる。だがロボには届かない。続き38行
157:
ポチ ◇xueb7POxEZTT[sage] 2018/04/14(土) 19:26:31
「だから、だから……僕はもう、ブリーチャーズのポチですら、ないんだ。
 僕はもう……何も願いたくない。だけど……まだ、血が流れてるんだよ。
 ねえ、分かるでしょ。皆がここにいる理由なんて、もうないんだ……」

>「……よォ……。よく見たら、おまえもオオカミじゃねェか……。オレ様の群れのヤツだな?去年生まれた……ヴァレーの仔か……?」
 「おまえも来い、ここは危ねェ……オオカミを狙ってくる人間がたくさんいるからな……。オレ様が守ってやる、オレ様が……」

己を見下ろすロボを見返すと……すぐに彼は視線を逸らした。顔ごと下へ。
足元に広がるシロの血だまりへ。そしてそこに、口づけをした。
158:
ポチ ◇xueb7POxEZTT[sage] 2018/04/14(土) 19:26:51
「……本当なら、君を守れなかった僕に、こんな事する資格なんてない。
 だけど……これで、あの子の魂は今どこにあるのかな。アンタの中?それとも……僕の中にも?」

狼は群れの仲間を深く愛する生き物だ。
だが同時に、上下関係を重んじる生き物でもある。
生前のロボも、その群れが成す整然たる足跡から、統制は厳格なものだったとされている。
例外はブランカただ一匹だけ。
ならばこの彼の行為も、ロボを怒らせるには十分だろう。
口の先を僅かに湿らせる程度の血液でも。
王の愛する妻の血肉を、魂を、他の狼が掠め取ろうとするなど、許されないはずだ。

>「ゲハハハハハハ……ゲァ――――ッハッハッハッハハッハハハハッハハハァ!!!」

ロボが迫り来る。
群れの狼を「匿う」事が目的なら、ロボはシロにそうしたように彼を捕らえ、食い殺すつもりなのだろう。
その過程にはもしかしたら、不遜な態度に対する教育が混ざるかもしれないが。
だとしても、まず捕まえる。全てはそこから始まるはずだ。
身長の差から、ロボは必ず前屈姿勢になる。
その足元に、飛び込めば。
軸となる足に強い力を加えられれば……冷静さを欠いたロボならば、転ばせられるかもしれない。続き34行
159:
御幸 乃恵瑠 ◇4fQkd8JTfc[sage] 2018/04/14(土) 20:31:26
>「じゃ、足の速いあたしが取って来るから、その狙撃方法が有効かどうかはあたしが取ってきてから試すとして……」

「あの距離を走って!? そんな無茶な!
こういう時はフレンズの力を借りるのさ――なんかバス型になれる化け猫とかいたような気がするし!」

確かにターボババアは走ることに特化した妖怪だが、マラソン走者というよりも最高速度が売りの短距離走者のイメージがある。
誰かが車を出せば済む話だが、ノエルは免許を持っていない。そもそも公共の安全を考えるとこんなのに免許を渡してはいけない。
尾弐は忙しそうなので、設定上存在する他のメンバーに協力を仰いでみることとする。
とはいえ、橘音がいない今、公式に依頼することはできない。
メンバーの中で気の向いた者が参加している非公式グループ「化け物フレンズ」を起動。
ブリーチャーズのメンバーは厳選されているはずなのだが、このライングループには「橘音は何を思って入れちゃったんだろうか」という
万年補欠達ががたくさん参加している。

ノエル<鳥居を即刻遠野から東京まで運びたい 適任者モトム! 報酬はSnowWhiteでの飲食がしばらく無料!

所詮は万年補欠達の雑談用グループ、未読スルー既読スルー「めんどいから無理」のオンパレードであった。OTLのポーズで落ち込むノエル。
そもそもあの宿は普通に行って行けるものなのだろうか。
不思議なダンジョン状態で行く度に道が違ったり特殊な結界に阻まれて普通にはたどり着けないなんてことは……
と、迷い家で取ってきた手作り感満載のパンフレットを見ると、普通に電話番号と番地が書いてあった。
続き36行
160:
御幸 乃恵瑠 ◇4fQkd8JTfc[sage] 2018/04/14(土) 20:31:55
゚+。*゚+。。+゚*。+゚ ゚+。*゚+。。+゚*。+゚ ゚+。*゚+。。+゚*。゚+。*゚+。。+゚*゚+。。+゚*。+゚

そんなことをしているうちに、祈が無事に天神細道を持って帰ってきた。それだけではなく、お土産を貰ってきたとのこと。
それはきっと、祈が一人で来たことによる富嶽の出来心のようなもので、祈が取りに行くことになったのは結果的には良かったのかもしれない。

「へえ、インラインスケート!? いいなー!」

風火輪を箱から取り出してためつすがめつして見るノエルが、一瞬だけ顔を曇らせたのに祈は気付いただろうか。
妖具には誰でも使える便利な秘密道具のような物と、使用者の妖力を容赦なく食らう扱いの難しい、ともすれば危険の伴うものがある。
強力な戦闘用の妖具などはほぼ例外なく後者で、これも例に漏れず後者であった。
実際、クリス戦においては橘音すらも妖具の連続使用によりケ枯れ寸前に追い込まれたのだ。

『いざって時はあたしが何とかするから、心配すんな』

病院からの帰り道で、シロが命を落とす可能性を思い不安を見せてしまった時に、祈が言ってくれた言葉を思い出す。
すでに何百年単位の時を生きた制御しきれぬ強大な力を持つ魔物である自分に、妖怪基準ではまだ生まれたばかりの半妖が。
一点の曇りもなく言い切った。それが祈の最大の強さであり弱点。
彼女の性格では、こんなものを与えられては、限界を超えて使ってしまいかねない。
富嶽のじーさん、何も考えずに渡してないか!? と思うノエルであった。
母親の颯は使いこなしていたから大丈夫だろうという理屈かもしれないが続き20行
161:
御幸 乃恵瑠 ◇4fQkd8JTfc[sage] 2018/04/14(土) 20:32:39
゚+。*゚+。。+゚*。+゚ ゚+。*゚+。。+゚*。+゚ ゚+。*゚+。。+゚*。゚+。*゚+。。+゚*゚+。。+゚*。+゚

そして現在。まさか、まさか弾丸が来ないだなんて誰が予想できようか――
それでも容赦なく状況は進む。シロは逃げる気配は無く、ポチに歩み寄ってくる。
動物の言葉が分からないノエル達から見れば、協力依頼がが成功したようにしか見えない状況。
少なくとも表向きは、全てが完璧に作戦通り。ただ銀の弾丸だけが無い――
それでも今ある物で作戦を遂行すべく、ノエルと尾弐は近くで様子を伺い、
祈は少し離れた場所で天神細道とお手製の弾丸もどきを持って待機している。
ぼったくられた結果と思しき物品を披露するノエルを見かねた尾弐が銀食器を渡してくる。

>「……お前さんがそれを幾らで買ったのかは聞かねぇ方が良いんだろうな。とりあえず、これ持っとけ」
>「食器屋で買った銀のナイフとフォークだ。弾丸じゃねぇが、西洋妖怪に対してなら牽制にはなんだろ。
 奴さんたちの文化じゃ、銀はそれ自体に退魔の効果が有るみてぇだからな
 ……一応言っとくが、結構高かったから大事に使ってくれよ?」

「ありがとう! ……無事だったとしても流石にこれに使用後ので肉食べる気にならないだろうし後で買って返すね」

銀には退魔の効果があり、西洋ファンタジーにおいては精霊と相性が良いとの設定もよく見受けられる。
ノエルの氷の呪力付与による強化と組み合わせれば、多少の武器にはなるかもしれない。
そして――ついにその時は来た。徐々に近づくシロとポチの距離が無くなる寸前、ポチが警告を発する。続き39行
162:
御幸 乃恵瑠 ◇4fQkd8JTfc[sage] 2018/04/14(土) 20:32:57
≪興が乗らぬな――我が器よ。気付いておるか。奴は妖壊ではない≫

深雪が意味不明な戯言を言い出した、と思うノエル。
ノエルは《妖壊》を、退魔業界において討伐対象となる人間に害成す妖怪を指す、極めて実務的な言葉として認識している。

≪それは人間どもの都合で歪められた後の定義だ。さては妖壊の本来の意味も知らぬのか! 知らぬなら教えてやろう! 
その名の通り壊れた妖怪――つまり、その妖怪の本来の性質、そうあれかしと思われた道から外れた妖怪のことだ!
つまり……あやつも我も妖壊ではない! それどころか人に望まれた姿を最も忠実に体現する純粋な妖怪なのだ。
自然の恐怖の化身が人間をぶっ殺したり大災害起こして何が悪い!≫

深雪は、厄災の魔物は《妖壊》ではないという、とんでもない新説をぶちあげた。
深雪説とノエル説は、ともすれば真逆の意味にもなりかねない定義。妖怪とは本来人を恐怖させる存在であるからだ。
しかし現代では多くの妖怪が存在の存続のために人間社会に折り合いをつけている生きているため、
結果的に両者は多くの場合重なっているのかもしれない。

>「すっこんでろォ―――ゴミどもォォォォォォォォォ!!!!!」

ついにポチが立ち上がれなくなる。

>「に、逃げろ……」続き35行
163:
御幸 乃恵瑠 ◇4fQkd8JTfc[sage] 2018/04/14(土) 20:33:13
>「う、あ……そんな……あぁ……僕の、僕のせいだ……」
>「僕が命をかけるなんて言ったから……覚えていて欲しいなんて、思ったから……」

「ポチ君のせいじゃないよ……ポチ君はよくやってくれた」

>「ノエっち。尾弐っち。……実はね。僕はさっき、この子に逃げろって言ってたんだ。
 山に帰る道しるべを用意して、後の事は、全部僕に任せろって。
 僕がそうして欲しかったから。橘音ちゃんが、皆が、あの爺さんにどんな罰を受けても……そうして欲しかったんだ」
>「だから、だから……僕はもう、ブリーチャーズのポチですら、ないんだ。
 僕はもう……何も願いたくない。だけど……まだ、血が流れてるんだよ。
 ねえ、分かるでしょ。皆がここにいる理由なんて、もうないんだ……」

ポチがシロ捕獲の依頼を放棄してシロを逃がそうとしていたことを明かす。
それでも結果的にはポチが受け持つ部分の作戦はうまくいっていた事に変わりは無い。
そもそもこうなってしまった今となってはもはやそれどころではない。

「残念ながら退職届の提出先は今不在だ――! 自分だけ二階級特進なんて許さないぞ!」
164:
御幸 乃恵瑠 ◇4fQkd8JTfc[sage] 2018/04/14(土) 20:33:31
>「……よォ……。よく見たら、おまえもオオカミじゃねェか……。オレ様の群れのヤツだな?去年生まれた……ヴァレーの仔か……?」
 「おまえも来い、ここは危ねェ……オオカミを狙ってくる人間がたくさんいるからな……。オレ様が守ってやる、オレ様が……」

「話は後だ――次は君が狙われてる! あいつ、狼全てを食い殺す気だ!」

≪気が変わった――力を貸してやるからリミッターを外せ≫

深雪が突然女装しろと言い出した。

≪前言撤回だ、あやつはぶっ壊れておる――気高き自然の守護者が自然の摂理に反し同族を食らうとは言語道断!
狼を食い尽くした後は犬科の動物、その後は全てのモフモフした動物を食い殺すつもりだろう。そなたが実家で飼っておる兎(※妖怪)もだ!
シロ殿を捕獲した暁には抱き着いて抱きしめてモフモフモフモフする予定だったのに許さぬぞ!!≫

ロボの中では食べる事で最も安全な場所に匿っているつもりなのかもしれないが、食べられる側はたまったものではない。
純粋な人間の敵――厄災の魔物だった彼は、今や守ろうとしたはずの同族に害成す《妖壊》に成り果てたのだ。
このままでは全世界からモフモフが消えるという恐ろしい事態になるという。(※深雪の拡大解釈)

≪何を躊躇っておるのだ、今回に限っては利害が一致しておるではないか。
何、心配せずとも乗っ取らぬわ。あの人間に目を付けられては我も都合が悪いからな≫
続き33行
165:
尾弐 黒雄 ◇pNqNUIlvYE[sage] 2018/04/14(土) 20:33:55
その会話がどの様な結末に辿り着いたのか、獣ならぬ身である尾弐には聞き取れるものではない。
だが、それでも……その視界に映る光景から判る事はある。
孤高にして孤独であった白狼と、人に寄り添い生きてきた混じり物の狼。
二頭の距離は確かに縮まり、そしてその影は月光の中で重なろうとしていた。

その姿に尾弐は、思わず目を細め小さく笑みを作る。
だが、それも一瞬の事。

>「ノエっち!尾弐っち!来るよ!」

ポチの言葉と共に、『其れ』が現れるまでの事であった。
166:
尾弐 黒雄 ◇pNqNUIlvYE[sage] 2018/04/14(土) 20:34:06
>「何をしてやがる……?このワンコロがァ!『オレ様の女房』に!!」

息が詰まる程の膨大な妖気をまき散らし、吐き気のするような暴力の気配を纏いながら現れたのは、魔狼。

ジェヴォーダンの獣――――狼王ロボ。

>「ガルルルルルォォォォォォ――――――――――――――ン!!!!」

以前とは事なり、妖壊としての本性を露見させたロボは、
獣としての側面を露わにしながら、満月の夜の支配者である事を誇示するかの様に、禍々しい咆哮で大気を揺らす。

>「イロガキがァァ……人様の女房に色目ェ使いやがって、どうなるか分かってンだろォなア!?」
>「ハラワタァ引きずり出して、このビルの屋上から吊り下げてやるぜ!カラスのエサにもなりゃァしねェだろうがなァ!!」

「……ワンワンうるせぇよ、今何時だと思ってんだ化物。腹かっ捌いて石詰めてから東京湾に沈めんぞ」

だが、その吹き荒れる殺意を前にしても尾弐は揺るがない。
それは理解しているからだ。

ここで呑まれれば、敗北する事を。続き8行
167:
尾弐 黒雄 ◇pNqNUIlvYE[sage] 2018/04/14(土) 20:34:25
「チッ!やっぱし、前より硬ぇか……っ!」

ロボの脇腹に向けて放った回し蹴りを左腕一本で受け止められた尾弐は、
お返しとばかりに放たれた鋭利な爪による一撃を、上体を逸らす事でかろうじで回避した。
そのまま後方へと跳躍すると、ノエルの銀食器による氷のダーツとポチの連撃の隙間を縫い、右腕に持った猟銃の引き金を引く。
火薬の炸裂音と共に放たれた弾丸は狼王の肩に直撃する……だが、その堅牢な皮膚を貫く事無く床へと落ちた。

「これもダメか――――狩猟の概念じゃ、こいつ相手にゃ弱ぇ訳だ……っと危ねぇ!」

……威力だけで言うなら、単なる銃弾は尾弐の肉体でも弾けるものであり、狼王に通じる筈はない。
それでも尾弐が猟銃を用いたのは、銀の弾丸のように『狼は猟銃で狩るもの』という概念を以って狼王に傷を付ける為だ。
だが……実際に試した所、その効果はほとんど無かった。
『数多の猟師を以って仕留める事能わず』という伝承の影響か、或いはそれ以外の何かによって無効化されてしまっている。

(しかも、避けるんじゃなくて受け止めたって事は……奴さん猟銃を、銀の弾丸を畏れてねぇのか?)

更には……満月の夜に対する興奮からか、眼前のロボには『銀の銃弾』に対する警戒が薄くなっている様に感じられた
これは、尾弐の見込んだ猟銃の優位の二点目。
即ち、『銀の弾丸への警戒』を用いた牽制の失敗も意味している。
続き37行
168:
尾弐 黒雄 ◇pNqNUIlvYE[sage] 2018/04/14(土) 20:34:41
>「ゲァハハハハハハハ……、ハァ――――ッハッハッハッハッハッハッハッハァ――――!!!!」
>「……おい。何やってるんだよ、お前……」

ポチの制止の声は届くべくも無く、狼王ロボはシロの命を喰らうと、残った肉体を粗雑に放り投げた。
……これだけの傷を受ければ、もはや生きてはいまい。
狼王の哄笑が響く中、誰もが呆然とその場に立ち尽くす。
そんな中で、尾弐の耳に絶望の混じったポチの声が届く

>「う、あ……そんな……あぁ……僕の、僕のせいだ……」
>「僕が命をかけるなんて言ったから……覚えていて欲しいなんて、思ったから……」
>「ポチ君のせいじゃないよ……ポチ君はよくやってくれた」

「……お前さんだけの責任じゃねぇよ。俺を含めたここに居る全員の失策だ。すまねぇ」

その懺悔の言葉に、ノエルが慰めの言葉を掛ける。
対して尾弐は、この場の全員の失策であったと敢えて責任が無いという優しい言葉を切って捨てた。
それは、尾弐がポチを大切に思っていないから――――ではない。
東京ブリーチャーズの仲間として大切に思っているからこそ、尾弐はポチ含めた自身達の責任を認めたのである。
何故なら……誰もポチの非を認めなければ、ポチは自分を責める事すら出来なくなってしまうからだ。
自分を責められないという事は、永遠に自分を許してやれないという事でもある。そんな重荷を、尾弐はポチには背負わせたくなかった。続き23行
169:
尾弐 黒雄 ◇pNqNUIlvYE[sage] 2018/04/14(土) 20:35:00
>「ポチ君――シロちゃんは君を逃がそうとした。生きてほしいと望んだんだ」

ノエルである。
誰をも傷つける事を良しとせず、ただただ純粋にポチに生きている事を望むその青年は、
その姿を女性のものへと変えると、ポチの眼前に氷壁を作り出す事で死出の行進を止め、その背中を抱きしめる。

>「諦めないで。まだ勝機はある」

彼はポチに語りかける――――生きる事を。勝てると。死んでほしくないと。生きろと、そう告げる。
その言葉がどこまでポチに届くかは判らない。
だが……尾弐には届いた。蹈鞴を踏んだ尾弐の足を、その言葉は動かした。

「……なあ、ポチ助。お前さんが自棄になるのは当たり前だけどよ……その前に、今すべき事を忘れちゃいねぇか?
 お前さんがすべきことは、諦める事でも謝る事でも、ましてや、あの化物を憐れんでやる事でもねぇだろ」

言いながら尾弐は、懐から銀色の紙に包まれた四角い物体を取り出すと、ポチによってバランスを崩したであろう狼王へと向けて走り出す。

「お前さんが今やるべき事は、するべき事は。テメェが惚れた女を不幸にしたクソ野郎をぶん殴ってやる事だろうが。
 ……作戦無視の仕置きは後回しだ。東京ブリーチャーズは関係ねぇ。今は、一人の男としてお前さんを手伝ってやる。だから」
続き11行
170:
尾弐 黒雄 ◇pNqNUIlvYE[sage] 2018/04/14(土) 20:35:25
……人間と犬の歴史は長い。
敵対者として。狩猟のパートナーとして。そして家族の一員として。
二つの種族は、それこそ一万年以上を共に歩いてきた。
そして、互いの理解を深め合うその歴史の中で、人間は犬の生態について様々な事を学んだ。
愛し方、躾け方、好きな遊び、好物、苦手な物……そして、食べさせてはいけない物。

『チョコレートは犬にとって毒で、食べると死ぬ』

チョコレートの原料であるカカオには犬にとって有害な物質が多量に含まれており、食べれば死に至る。
今や、地球上の人間でそれを知らない人間は少数であろう。
その知名度は、狼王ロボの伝承や、ジェヴォーダンの獣の伝承に比べて遥かに高い。
『かくあれかし』
人間の願いは妖怪に対して強い影響を持つ。
故に。銃弾をすら弾く強靭な肉体を持つ尾弐が、子供の投げる煎り豆で傷を負う様に。
狼男が銀の弾丸で致命傷を負う様に。
チョコレートは、狼に対して猛毒と化す。
狼王とはいえその根幹は狼であり、即ち犬の祖先である。そうであるが故に……

毒餌を含めたあらゆる罠を掻い潜った伝承を持つ狼王にも、これは、通じる筈だ
続き19行
171:
多甫 祈 ◇MJjxToab/g[sage] 2018/04/14(土) 20:37:59
 祈は適当な所でタクシーを降りて、
迷い家までの道程を徒歩用ポータブルナビを確認しながら歩いていた。
>『気を付けてね、何かあったら電話して』
 ポータブルナビを見ていると、SnowWhiteを出る前にそんな言葉で祈を送り出してくれたノエルが思い出された。
(御幸は心配しすぎなんだよなー……)
 祈が一人で迷い家に行くだけだというのに、補欠のブリーチャーズ達に声を掛けたり、
今祈が持っている徒歩用のポータブルナビを用意して行き先を設定したり、
多めに交通費を渡したりと、心配して何かと世話を焼いてくれたのだった。
(ったく、こんなお使いぐらい簡単にできるってーの。あたしだってもう14だし、子どもじゃないんだから)
 実質何百年と生きているノエルから見ればほんの子供なのであるが。
 とは言え、その心配は分からないではない。
確かにターボババアは、短距離を最高速度で走り抜けることこそ本領とする妖怪である。
人間を超えた時速140キロという速度を出し続けるのは当然激しい妖力の消費を伴い、
ターボババアの厳しいしごきを受けた祈であっても、休憩せず最高速度で走り続けるのはせいぜい30分が限界と言った所だ
(それでも通常の人間と比べれば十分に脅威的な数字であるが)。
 そう、たった30分。時速140キロで30分走れば、走れる距離は70km。
いかに足が速いとはいえ、それで直線距離にして500kmもの距離をどうやって走破するのかと、ノエルは心配しているのだろう。
道に迷わないか、というのも多分にあるかもしれないが。
 だが、心配は無用なのである。
祈が一度家に帰り、鞄に入れて持ってきた大きめの水筒。これに迷い家の秘湯の源泉を汲んでいけば、続き33行
172:
多甫 祈 ◇MJjxToab/g[sage] 2018/04/14(土) 20:38:17
 背後で嗄れ声。「おわっ」と可愛らしくもない悲鳴を上げて祈が振り返れば、
杖をついた小柄な老人、ぬらりひょんの富嶽がおり、木箱を抱えた一本ダタラが富嶽に付き従うように立っている。
持ち上げた鳥居を降ろし、祈は富嶽に向き直った。
「なんだ、ぬらりひょんのじっちゃんか。びっくりさせんなよ」
 ぬらりひょんは勝手に人の家に上がり込んで飲み食いする妖怪。よって気配を消す術に長ける。
意図的かそれとも無意識か、ぬらりひょんの富嶽は気配を消して現れたのだった。
>「狼の捕獲はうまくいっとるか?たっぷり飲み食いさせたんぢゃからな、それに見合った働きはして貰わんと」
 そう催促して笑い、長い後頭部を揺らすぬらりひょん。
揺れる後頭部を珍しそうに眺めながら、
祈が「正直、上手く行ってないけど……上手く行くよう頑張ってる途中だよ」と答えると、
富嶽は老人がよくやるような、感慨深そうな、昔を思い出しているような表情を見せる。
話は終わりかと思い、祈が「そんじゃ、あたし行くから」とぬらりひょんに背を向ける。すると
>「それにしても……まさか、颯の仔が妖壊退治とはの。いや、血は争えんということか?」
>「あやつがよく許したものぢゃ。娘のあの……考えれば、孫に……など到底…………ぢゃろうに、の」
 こんな気になることを言う。思わずまた祈は振り返った。
後半は良く聞こえなかったが、颯の仔が妖壊退治とは、という部分だけははっきり聞こえていた。
「……母さんも妖壊退治してたってホント? ねぇ、ぬらりひょんのじっちゃん!
ばーちゃんも橘音も、誰も母さんのこと教えてくれないんだよ。なんか知ってるなら教えてよ!」
 なので食い付いてみるのだが、
おかしいな、急に耳が遠くなったので聞こえない、とでも言いたげなリアクションで躱されてしまう。続き19行
173:
多甫 祈 ◇MJjxToab/g[sage] 2018/04/14(土) 20:38:32
 隕石のようにその影は落ちてきた。
大きな満月に照らされ、祈からはさながら影絵のように映るその姿は、冗談かと思える程に巨大だった。
3メートルか、4メートルか。体格が大きいはずの尾弐が、まるで子どものように見える。
 シロ達のいるビルの屋上に降り立ったその巨大な二足歩行の狼。
そいつは何事か言い捨てると、ビルをも揺らがせるかと思うような足取りで、ズンと歩を進める。
(止まらない――!?)
 シロへと向かうその歩みは止まらない。
 作戦通りならば、ここでポチとシロが夫婦になることで、あるいはそう見せかけることで、
ロボはショックを受けて棒立ちになっている筈だった。
しかしかの人狼がショックを受けている様子は微塵もない。
ということは、ポチは失敗してしまったというのか――。
 ただでさえ今宵は満月の夜。人狼が最も血を滾らせ、力を最大限に発揮する夜だ。
尾弐の拳が通用しなかったロボの肉体も最大限に強化されていると見ていいだろう。
銀を含んだ武器なら祈の手元にあるが、
『妻との絆』という弱点を突いて無力化ができなかったのならば、
あの完全なる人狼の頑強な肉体を貫いてダメージを与えるなど、どうすればできようか。
>「ガルルルルルォォォォォォ――――――――――――――ン!!!!」
 ロボの落雷のような咆哮が響き、『死』を予感した周辺住民がパニックを起こして逃げ出し始め、
祈ははっとする。
 四の五の言っている余裕はないのだ。続き35行
174:
多甫 祈 ◇MJjxToab/g[sage] 2018/04/14(土) 20:39:39
 また、守ることができなかった。
4日前と同じ、血の夜が繰り返されてしまった。
祈の見る世界が暗く歪み、滲む。
 が。それは瞬きをするよりも僅かな間に過ぎない。
 ブリーチャーズを守ろうとしてくれた優しい警官達。彼らのように強くありたい。
だから折れない。
 いざという時は自分が何とかすると、ノエルと交わした約束がある。
故に屈さない。
 何より、仲間の大事な想い狼を、みすみす死なせてたまるものかと心が叫んでいる。
「諦めてなんていられるか!」
 その目は死んでなどいない。
 祈は駆け、天神細道を潜って自らも仲間達のいるビルの屋上へと、ロボの背後へと移動する。
そして、ロボが用済みとばかりにビルの屋上に放ったシロを両手で優しく抱きかかえると、
自分が元いたビルへとすぐさま体を翻す。
 ロボはどうしたことか祈には見向きもしない。それを好機とばかりに更に勢いをつけて、ビルの屋上から――跳躍。
 目指すは天神細道だった。
もし今、命の尽きかけたシロをなんとかできる道が残されているとすれば、それは天神細道以外にないと思ったのだ。
だが、ビルからビルへの距離は100メートル近くもあり、祈の跳躍力でも届く筈はない。
このままでは失速し、落下するかに思われた。
 しかしその足には。続き31行
175:
多甫 祈 ◇MJjxToab/g[sage] 2018/04/14(土) 20:39:53
「っだあああああああああ!!」
 空に二つの赤い線が奔る。それは風火輪の炎が描く軌跡だった。
祈の必死さがこの土壇場で、自在とは行かないまでも風火輪に空を駆けさせる。
軌跡は真っすぐに、祈が走るよりもずっと早く、天神細道の置かれたビルの屋上へと伸びていく。
 一秒が惜しい。もっと速く。そう思えば思うほど、風火輪の炎が激しさを増した。
(喉と腹を食い破られてまだ数秒、脳死まではまだ僅かに時間がある……!
内臓は食べられたけど心臓が残ってる、肺がある。血は足りない、喉が食われて呼吸ができない、でもまだ――!)
 意識なく、力尽きてだらりと口を開けたままのシロ。
その体は小さく痙攣を繰り返している。まだ生きている可能性が僅かでもあるなら。
(“シロを助けてくれるところへ”!)
 そう願いながら天神細道へ、急ブレーキをかけながら突っ込む。
祈が鳥居を潜ると、そこはどこか既視感のある場所だった。
「ここは――」
 こじんまりとしている、白基調の内装の建物の中に出たようだった。
清潔感のある消毒液の香りと、妖気の混じった独特の雰囲気には覚えがある。
そこは4日前に尾弐の傷を治すために訪れた妖怪専門の病院だった。
 その病院内でも、どうやら医師が待機する部屋にでも出たらしく、
夜食であろうか、胡瓜に味噌をつけて食べているフランシスコザビエル似の医者がそこにはおり、
突如現れた祈を見て驚愕していた。その見開いた目と祈の目が合う。
 シロが助かる希望はここにあるのかもしれないと思った瞬間、祈は叫んでいた。続き20行
176:
那須野橘音 ◇TIr/ZhnrYI[sage] 2018/04/14(土) 20:40:52
……身体が、熱い。
呼吸がうまくできない。息を吸い、吐こうとするたび、ごぽごぽとくぐもった声が漏れる。鉄臭い液体が口の奥に溢れる。
腹部に鈍痛を感じる。重い痛みだ。そして熱い。暑い。痛い――

痛い?

……そうだ。思い出した。
わたしは、敗れたのだ。あの、月光をきらきらと弾いて佇む魔狼に。禍々しい月の使者に。
わたしは喉を食い破られ、腹を噛み裂かれた。致命傷だ、間違いない。
わたしがかつて縄張りとしていた山の中で、野兎や雉にそうしていたように。
“あれ”は――わたしの急所を破壊したのだ。

そうか。

これが、死か。

わたしは結局同族に巡り合うこともできず、一族の復興を遂げることも叶わず、ひとりぼっちで死んでいくのか。

嗚呼、それは、なんて悲しくて――
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